作家・曽野綾子語る介護のコツ「周り気にせず手抜きが必要」
「以前は大きなテーブルが置いてあって、12~13人くらいの会合や食事なども行っていた部屋です。ここに三浦のベッドを置いて介護用の部屋にしていたんです。彼は起きるとマッサージチェアに座り、一日中、本や雑誌、新聞を読んでいました」
そう語るのは、作家の曽野綾子さん(85)。今年2月3日、作家で文化庁長官などの数々の公務も務めた三浦朱門さんが間質性肺炎で亡くなった。享年91.三浦さんは’15年春ごろから、さまざまな機能障害に見舞われるようになり、その年の秋に検査入院。そして退院以降、妻の曽野さんの在宅介護生活が始まった。夫婦で1年以上、いっしょに過ごした部屋には、現在は三浦さんの遺影が飾られている。
「私の居場所は、彼のベッドから3メートルくらいのところに置いたソファです。
飛行機のファーストクラスくらいにはリクライニングするので、かなり便利でした。三浦が退院して、しばらくの間は毎晩、私はそのソファで寝ていたんです。横に移動式の台を持ってきて、昼間はそこで原稿を書いたり、校正刷りに手を入れたり、私の仕事場になっていました」
曽野さんが三浦さんと結婚したのは’53年10月。