電動カート開発した77歳女性、「母の介護体験が背中押した」
「スパナやドライバーなど握ったことのない私が、電動カートを作ろうと思ったのは、社会にお返しできることは何かないかと、思いめぐらしていたときです」
そう語るのは、電動カートを販売する「ぱるぱる」の代表・内山久美子さん(77)。埼玉県で文房具の卸売業を営んでいた内山さんが、電動カートの開発を手がけたのは70歳のとき。
「自宅でいすから転倒して、左ヒザを痛めてしまったんです。つえに頼ってみたり、車いすを使ってみたりしましたが、足が不自由だと、どうしても家にひきこもりがちになってしまいます。思い切って電動カートを購入してみましたが、操作が複雑。80~90歳の老人が、とっさにブレーキを引けるのだろうかと疑問に思いました。車体も重すぎて怖かったし、もう少しシニア目線の電動カートがあればいいなと思ったんです」
母の介護体験も内山さんの背中を押した。
「足腰が弱くなった母が、次第に歩けなくなり、そのまま寝たきりに。
そして最後にはボケてしまった姿がいつまでも忘れられないんです。これからも高齢化が進み、老老介護などの問題も出てくるでしょう。