70歳過ぎて起業…1日に300個の笹餅売る90歳女性に密着!
「まあまあ、まんず、これを食べてみてください」。青森県金木町にある桑田ミサオさん(90)の作業場を訪れると、柔らかい笑顔で笹餅を出してくれた。手に持つと、笹餅のふんわりとした軽さに驚く。笹の葉の香りが漂う餅は、トロリとした口当たり。穏やかな甘みが口に広がり、小豆の優しい香りが鼻腔に抜けた……。
「どんだ~」と、ミサオさんは記者の顔をのぞき見て、感想を聞くと、満足そうに顔をクシャッとさせた。モチ米粉と餡で作る笹餅は、ミサオさんが生まれ育った津軽地方で伝統的に作られてきた和菓子だ。とりわけ彼女が作る『ミサオおばあちゃんの笹餅』は、週2回、地元のスーパーで売られるが、300個(1袋2個入り=120円)の笹餅は、瞬く間に売り切れてしまうという。
ミサオさんが、笹餅を売るようになったのは75歳のとき。70歳を過ぎて起業したスーパーおばあちゃんだ。
「保育所の職員を定年退職して、農協の婦人部に参加して、直売所を手伝ったときに、ワ(私)でも、何か作れないかと思って、母親から教わった笹餅を作り始めたのさ。