専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」前編
安全対策の一環という防潮堤の総工費は3千億円を超えるという。
「当初、壁の高さは18メートルだったんですが、国が試算した津波の高さが19メートルだったので、あとから4メートルかさ上げしたんです」と話すのは、現地を案内してくれた弁護士の青山雅幸さん。浜岡原発の廃止を求める訴訟弁護団の一員だ。
「浜岡原発は、河川と砂浜だったところに盛り土をして建てられたので地盤自体が弱い。巨大防潮堤をつくっても、巨大地震による“揺れ”や津波の圧力で地盤が浸食されたら、倒れてしまう可能性も大きいと専門家は指摘しています。近くに新たな活断層と思われる断層も見つかっています」
青山さんは海に浮かぶ灯台のようなものを指さして、こう続けた。
「あれは、取水塔です。津波で倒壊したり、津波で流されてきた船がぶつかったり、泥砂が詰まったりしただけでも、取水塔から水を送れなくなる可能性があります」
原子炉を冷やすには水が必須だが、浜岡原発は遠浅の海に面しており、日本の原発では唯一、専用の港がなく、岸壁がないので原発の真下に取水口がつくれない。