張本智和 13歳の怪物育てた母の厳格教育「いつも謙虚であれ」
「水谷選手との試合から2〜3時間後、LINEのテレビ電話で話しました。時間が経っているので智はそれほど興奮しておらず『勝ったよ』とひとこと。だから私も『良かったね、次も頑張って』と答えました」と話すのは、張本智和選手(13)の母・張凌さん(44)だ。
ドイツ・デュッセルドルフで開催された世界卓球選手権のシングルス2回戦、張本選手はリオ五輪銅メダリストの水谷隼選手(27)を破る大金星を勝ち獲った。喜びをかみしめた彼は3、4回戦も圧倒。準々決勝で破れたが、史上最年少となる世界トップ8を達成した。
もともと中国の卓球選手だったという母・凌さんと父・張本宇さん(47)。凌さんは元世界選手権代表で、宇さんも現・男子ジュニア日本代表コーチを務めている卓球エリートだ。
そんな“サラブレッド一家”に生まれた張本選手。両親が仙台市で卓球教室のコーチを務めていた影響もあってか、2歳からラケットを握っていたという。
全日本選手権の小学生以下の部では前人未到の6連覇も達成。だがそれほどの成績を残していても、彼は慢心しなかった。それも、凌さんの影響が大きかったようだ。
「私は智に『自慢するのはよくないことだ』と教えてきました。県大会で優勝しても『全国にはまだ強い子がいる』と言いましたし、日本一になっても『世界にはもっとすごい選手がいる』と言いました。本気で上を目指すなら、自慢している余裕なんてないんです。
あの子もそれをわかっているようで、学校ではいっさい卓球のことは話しませんでした」
試合に勝っても常に謙虚であれ。それは中国語で“立派な人”を指す「大人」になってほしいという教えだった。14年春には父・宇さんとともに帰化。姓も張から張本にかわった。
「“智和”という名前は、主人と2人で決めました。あの子は日本で生まれて、本当にいろんな日本の方に支えてもらいました。だから名前にある“平和の和”のとおり、これから世界に羽ばたいて日本と中国の架け橋になってくれたらうれしいですね」
世界中を驚かせた13歳の怪物。母の夢がかなう日も、遠くないかもしれない。
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