長女の誕生日にシリアへ…戦地の女性の刺繍作り支援する考古学者
「トルコやエジプトから送られてくる刺繍などの台紙のサイズがバラバラで、整理するときに少し困っています」
「たしかにね。でも、彼女たちが、ときには命がけの大変な状況のなかで、苦労して送ってくれているのも、よくわかりますしね」
6月最初の日曜日、東京・上野の貸しオフィスの一角。「イブラ・ワ・ハイト」の主要メンバー8人が集まり、定例会議が行われた。イブラ・ワ・ハイトとは、アラビア語で「針と糸」のこと。紛争の続くシリアの女性たちが伝統技法で手縫いした刺繍を適正価格で買い取り、日本で販売することで自活支援を続けている。
’11年3月の内戦勃発以来、人口およそ1,850万人の半数以上が国外へ避難し、50万人近くが命を落としたとされるシリア。今年4月も、北西部のイドリブ県への空爆でサリンが使用された可能性があるとされ、口から泡を吹いて痙攣する子どもたちの映像は世界中に衝撃を与えた。最近では、「イスラム国」との関連で語られることも多い。
イブラ・ワ・ハイトの始まりは、シリアで紛争が勃発した2年後の’13年5月。考古学者の山崎やよいさん(59)