福島県・大熊町長の土地に「31億円の町役場」のあきれた復興計画(下)
「だったら31億円もかけて新役場を建てなくても、あと数年待って、放射線量が下がってから、旧役場を修理して使えばいい。それかそのときの町の規模に見合った庁舎をそこに建てればいいと思うのですが」(前出・下野上地区の女性)
次々にわいてくる疑惑や疑問。本紙は、取材の最後に会津若松市の大熊町役場出張所を訪れ、渡辺町長と役場の担当者に数々の疑問をぶつけた。
まず、町長に、自らの土地を町に売却することの違法性について認識を聞いた。
「問題ないと思った。地権者の説明会でも、ダメだという声はなかった。まだ売買契約は結んでいないから、そんなに問題があるんだったら、私の土地は抜いてもらってもかまわない」
町長は違法性自体、認識していなかったようだ。さらに、利益誘導ではと言われていることに対しては、こう答えた。
「そんな気はまったくない。売らなくてすむならそうしたい。でも、町民のみなさんに『土地を提供してくれ』とお願いしているのに、自分が差し出さないわけにいかない」
先祖代々受け継いだ土地を手放すことへの辛い心情を吐露する町長だが「思うように用地買収が進んでいない場所もあるので、自らの土地を避けて復興拠点をつくることはできない」