くらし情報『西陣織伝統工芸士、パリでのショー実現させた“亡夫との約束”』

西陣織伝統工芸士、パリでのショー実現させた“亡夫との約束”

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「いま、つづれ織りで地球環境の大切さを訴えるような作品をたくさん織っています。それらの作品を持って、日本はもちろん、海外で個展を開いて回りたい。これも、主人に出された宿題だと思ってるんです」

そう語るのは、京都西陣織・伝統工芸士の小玉紫泉さん(65)。数ある日本の伝統織物の、最高峰と位置づけられる京都「西陣織」。なかでも、ひときわ高度な技術が必要とされるのが「爪掻本つづれ織り」だ。小玉さんが手がける爪掻本つづれ織りは、“手技を超えた爪先の技”と称されるほど、繊細な技術が求められる。

機(はた)の脇から杼(ひ)を反対側まで一気に飛ばし、経(たて)糸全てに緯(よこ)糸を通して織るのが一般的な機織りの手順。

ところが、小玉さんは何十本と張られた経糸のほんの一部、数本だけを杼ですくい取るようにして、その部分だけに緯糸を通して絡めていく。
そして、鋸の刃のようにギザギザに削った自分の爪を使って、いま通したばかりの緯糸を「キュキュキュッ」と音をさせながら掻き寄せる。この細かい手法を用いることで、キャンバスに絵を描くように、さまざまな色糸で柄を描いていけるのだ。

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