60歳以上が子や孫の生活費を負担…“パラサイト破産”急増中
「50代半ばで長男と長女を社会に送り出し、肩の荷を下ろしたつもりでいました。夫と、定年を迎えたら2人で旅行に行ったり、家もリフォームをしたりしようと、計画を立てていたのです。でも、いまやすべては夢のまた夢で……」
本誌記者にそう語るのは、関東近郊に住む田口京子さん(73・仮名)。まだ70代だが、腕や足は枯れ木のように細く、表情も疲れ切って、実年齢よりも年をとって見える。子育て卒業から20年がたった田口さんの現状は、かつて描いていた夢とはまったく異なるものになってしまった。
「いまから10年ほど前、長男が嫁と孫2人を連れて実家に戻ってきたんです」
その日から、広くはない一軒家での“完全同居”が始まった。長男の経営する飲食店が赤字続きで、生活が立ちゆかなくなったためだった。調理師免許を持つ長男は、シェフとして腕をふるったものの、繁盛したのは開店当初だけ。
その後は閑古鳥が鳴く状態となった。
「人件費削減のため、嫁も店を手伝っています。仕事中は立ちっぱなしで疲れているからと、いつのまにか家事も育児もすべて私に押し付けられました」