【韓ドラの凄ワザ!】『偉大なる糟糠の妻』最強クイーンの登場
(写真:THE FACT JAPAN)
再ブームの予感がする韓国ドラマ。そんな“韓ドラ”の凄ワザを、『定年後の韓国ドラマ』(幻冬舎新書)の著書もある、韓国ドラマを15年間で500作品見た、作家・藤脇邦夫が読み解く!
【第15回】『偉大なる糟糠の妻』ーー最強にして無敵なクイーンの登場!
今日本で見ることができる韓国ドラマで、最強にして無敵なキャラクターが遂に現れた。その女優はキム・ジヨン。本来は『偉大なる糟糠の妻』(’15年)の主人公の1人のはずが、キム・ジヨンの演技は適役どころではなく、その傍若無人な態度、傲岸不遜ともいえる言動、厚顔無恥の度合い、さらに容姿と学歴のコンプレックスが高じて無神経の塊りとなるに至っては、まるで何かが憑依しているかのようだ。どう考えても、この作品の真の主人公はこのキム・ジヨンであり、これはキム・ジヨンのためのドラマである。
善人か悪人か、という二元論ではとても割り切れない、常に相手を屈服させるシャウトボーカル口調、髪を上でまとめた年代を無視したヘアスタイル、わざと目立つことを目的としたかのようなヤンキーファッション。時代も世間も完全に超越して、人に文句を言うことで一日の大半の時間を使うことを生き甲斐としているような、わが道を行く自分中心のわがまま主婦キム・ジヨンは登場するだけであらゆる画面に波紋を呼び起こす。その言動は舞台を変えればほとんど、先頃、離党届を出した、“絶叫ピンクモンスター豊田真由子”のようだ。
このドラマは、同じマンションで偶然再会した3人の女子高の同級生たちの過去に関わった殺人事件と現在の彼女たちの夫婦生活や離婚、さらに復讐劇を描いたものだが、作品内の人間関係がすべて誰かとの血縁、姻戚関係等で完結するようにがんじがらめに設定されていて、少し作為が過剰過ぎるのが難点となっている。この点だけ目をつむれば、このキム・ジヨンの存在とキャラクターを全開にさせる、絶好の環境である人間関係が用意されているともいえる。とにかく、成金上がりの亭主の妻となった、学歴コンプレックスのキム・ジヨンの決まり文句「金と贅肉はたっぷりあるから」は近年の傑作で、その亭主の浮気がいつもささいな理由ですぐ露見してしまうところも大笑いである。
後半は、主人公の主婦たちのそれぞれの亭主への三人三様の報復劇になり、タイトル通りになるにしても、実はこの3人の関係は同級生同士ではあるものの、どこまで心を許した親友なのかは最後までわからない。お互いが必要な時には喧嘩状態で、喧嘩していない時は余計で傍迷惑な相談事を持ち込み、また3人の仲が悪くなるという寸法で、韓国ドラマにおけるシナリオの構成テクニックには今更ながら感服させられる。
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