「息子は職場の上司に4カ月も無視され、いじめられ、悩みに悩んで自殺しました。それなのに東電は無視があったことを隠そうとしています。誠意の欠片もない態度は許すことができません」
芦澤拓磨さん(当時19歳)の遺影を前に悲痛な面持ちでそう話すのは、父親の明さん(58)。
東京電力山梨支店の社員だった拓磨さんは、2011年6月に自ら命を絶った。
母親のひとみさん(55)も涙ぐみながらこう語る。
「6月に7回忌を終えましたが、いまだに拓磨が死んだことを受け入れられません。そのうち玄関のドアを開けて帰ってくるんじゃないかと……」
高卒後入社2年目で未成年だった拓磨さん。遺書には、自分の教育係だった直属の上司から突然、無視されるようになり、つらい日々が続いたことが綴られている。
《無視されてから本当に辛い日々を送ってきました。無視されたから死ぬなんて馬鹿らしいと思う方もいらっしゃると思います。しかし、私には耐え難い苦痛でした》
拓磨さんは二人にとって自慢の息子。