【韓ドラの凄ワザ!】演劇的俳優、パク・シニャンの成熟度
’04年の『パリの恋人』が大ヒットしたためか、そのイメージが強かったが(『銭の戦争』はほとんど韓国版ナニワ金融道だが)、俳優としての本質は明らかに、その後の『サイン』、この『町の弁護士チョ・ドゥルホ』にある。
特にこの作品(『町の弁護士〜』)で、俳優としての評価は決定的になった。世界的に有名な俳優学校の1つであるアメリカのアクターズ・スタジオ出身かと錯覚するような部分もあり、アメリカの良心と称されたヘンリー・フォンダと言うより、韓国ではアン・ソンギ、イ・ソンミン、カン・シニルの系譜につながる、演劇的な俳優の1人だ。
今まで夥しい量の裁判、弁護士物が製作されてきたが、パク・シニャンの作品だけ違う手触りを感じるのは、一つにはこの俳優の人間的な、関西テイストをも彷彿させるキャラクターによるものだろう。様々な局面での意表を突く解決策は、シナリオの妙によるところが大であっても、俳優によってその印象がずいぶん違ってくる。そのくらい、タイトル通り庶民の味方となった“町の弁護士”としての活躍はまさに全開で、手垢の付いた正義の味方的な神話も一瞬信じたくなる錯覚を覚えるほどだ。