大江健三郎氏 長編執筆から4年…「神経症療法」病院通いの今
7月下旬の朝、都内にある大江健三郎氏(82)の自宅前には一台のタクシーが止まっていた。妻・ゆかりさん(81)と同伴女性に連れられて、車の中へと乗り込んだ大江氏。そのまま15分ほどタクシーを走らせた。向かった先は、都内の大学附属病院だった――。
57年に作家デビューすると、58年に23歳で芥川賞を受賞した大江氏。以降も数々の賞に輝き、94年にノーベル文学賞を受賞。後年は幾度となく小説の世界から遠ざかろうとしてきたが、13年10月に長編小説『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』を上梓。だが以降約4年、新しい小説は発表されていない。
そんななか“心配の声”が囁かれているという。
「大江さんは『晩年の仕事をどう完結させるのか』と葛藤を抱え続けており、近年は『もう書けないかもしれない』と悩んでいたそうです。大江さんはもともと外に出てストレスを発散させるようなタイプではありません。最近は自宅で好きな日本酒やビールを1人で飲む時間が多くなり、奥様も大江さんの身体を心配しているみたいです」(大江氏の知人)
7月下旬、玄関先には資源ごみとして大量のビールの空き缶や日本酒の空き瓶が置かれていた。