ヨーロッパではテロのニュースばかりです。この連載にもよく登場する息子の親友アレクサンドル君の家の前でもテロがあり、銃撃戦の末、警察官が亡くなりました。シャンゼリゼでは当日、大勢の市民や観光客らがアレクサンドル君の家へと逃げ込んで来たのです。そして、呼び鈴を鳴らしました。彼の両親はすぐに全員を家の中へと招き入れました。怯える人々のためにコーヒーを淹れ、即席ケーキまで作って配ったのです。彼らの家のサロンは見ず知らずの人達で溢れかえりました。
普通だったら、知らない人を家に入れることなどしません。
でも、緊急事態ですからね、私だって同じことが起きたらそうするでしょうね。2時間後、ニュースにより事態が収束したことを知った人たちは一人一人、お礼を残して家路に戻っていきました。最近はテロがなくなるどころか、もはや日常化しています。ISはシリアや中東での戦争よりも世界各地のテロ攻撃にシフトしつつあります。ロンドンでも繰り返しテロが起きています。ドイツやスペインなど、毎日どこかで大なり小なりテロが起きているのです。さらにIS指導部の命令によるテロばかりではなく、差別や人生に不満を持つ一般の人たちの自主的なテロが増えてきました。