映画作家・大林宣彦「“余命三カ月がん”は撮影に役立った」
「昨年の8月のことです。映画の撮影に入る前に受けた検査結果から『骨に異常があるから、きちんと調べたほうがいい』と言われましてね。唐津の撮影現場に入って、さあ、いよいよ明日から撮影だという日に、唐津赤十字病院で念のため再検査を受けたんです。まず、異常がある骨を診てもらうと、がんが見つかった。続けて検査した大腸や胃は何も問題はなくて。最後に肺を調べてもらったら、ステージ4の肺がんだとわかった。余命半年と診断されました」
映画作家の大林宣彦さん(79)は、『転校生』をはじめとした“尾道三部作”など、名作の数々でみずみずしい感性をフィルムに焼き付けてきた。リハビリ療養中ということで杖こそ突いていたが、病気の前と変わらない、柔らかい口調で語り始めた。
大林さんにがんが見つかったのは、壇一雄の小説を原作とする新作映画『花筐/HANAGATAMI』(12月16日公開)に取り組んでいたときだった。
「それでも、撮影は待ってくれません。初日からいきなり2日間、徹夜で撮りました。そして、改めて病院に行ったら今度はいきなり余命3カ月と宣告されて。