石川さゆり 当時では異例「結婚と歌」両立させた母の言葉
私の母がそうなんです。昭和8年(’33年)生まれの84歳ですが、すごく好奇心旺盛です。携帯電話も、スマホに買い換えまして(笑)。『らくらくホンにしなさいよ』と言ったら、『らくらくホンはつまらない!』って。iPadも使いますしね」
母・様子さんは、劇場での公演や大きなリサイタルの初日には、手料理を作って、差し入れてくれるそうだ。
「煮物とか赤飯ですね。『大変だから、いいわよ』って言うんですが、母は『私の楽しみだから』と、何日もかけておいもの皮をむいたり、煮たり。里いも、おこぶ、高野豆腐、しいたけ……。
田舎煮です。一時は100人分作って、スタッフも、持ち帰りのお弁当箱を持参するくらい、皆、楽しみにしてくれていて」
石川さんは’58年1月30日、熊本市で生まれた。9歳下に弟がいる。
「父(智さん)は市電の運転手、母は幼稚園の保母さんでした。栄養士の資格を持っていて、給食の献立も担当していたんです」
石川さんの小学校入学のころ、様子さんは保育士をやめ、祖父から「石川食料品店」を継ぐことになった。