NY市警察で働く日本女性、危険な街で仕事続ける理由
(撮影:田中克佳/取材協力:NY1PAGE)
全米最大の規模を誇る警察組織、ニューヨーク市警察(以下・NYPD)。約3万6,000人の制服警官が籍を置く。シングルマザーのガイ京美さん(46)はその中の、ただ1人の日本女性だ。京美さんがNYPDに入ったのは約10年前のこと。半年間の警察学校と、1年間のクイーンズ区での勤務を経て、8年前から現在の23分署に所属。同署が管轄するのは、マンハッタンの北部、とくに治安の悪さで知られる地区、スパニッシュ・ハーレムだ。相棒警察官と2人、パトカーに乗ってその地区を巡回するのが京美さんの日課だ。
「多いのはギャング同士の抗争かな。
麻薬密売のテリトリーを奪い合うんですよね。それで撃ち合ったり殺し合ったり」(京美さん)
日ごろから危険な現場に身を置く警察官の仕事。肝を冷やしたこともある。
深夜、傷害事件の容疑者を追って、低所得者用団地に足を踏み入れたときだった。格差社会を絵に描いたようなニューヨークシティ。この地区には、犯罪の巣窟と化している低所得者用団地も、けっして少なくない。容疑者は同僚の男性警察官の手でなんとか逮捕に至った。