くらし情報『「生業を返せ!」最大の原発訴訟、原告たちの訴え(後編)』

「生業を返せ!」最大の原発訴訟、原告たちの訴え(後編)

などとして、国の事故責任を認めない判決が出た。

これに対しても正子さんは、しばらく怒りが治まらなかった、と言う。

「原発事故は普通の災害とちがって、ひとたび起きれば、甚大な被害を及ぼします。自然は汚染され、次世代への影響も計り知れない。補償の有無やリスクに対する考え方の違いで、人間関係も破壊されてしまう。それが今回の事故でわかったはずなのに、こんな判決を出すなんて。生業訴訟では、国の責任を認めさせて、二度と同じあやまちを繰り返させないようにしたいんです」

生業訴訟の弁護団事務局長である馬奈木厳太郎氏が、この裁判の意義をつぎのように語ってくれた。

「原告の話からもわかるように、被害の形は多様です。
しかし現在は、加害者側の国や東電が、なにが被害で、誰が被害者かを決め、“お金”の問題だけに被害を矮小化しようとしています。こんなおかしな話はありません。裁判という形式上、賠償金の請求を求めていますが、お金だけにとどまらず、自然環境の再生や医療保障、壊れたコミュニティーの再構築なども合わせて訴えていくことを考えています。

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