「沢山の幸せと愛情をありがとう」20歳で逝去した女性がノートに遺した言葉
里菜さんの母・麻紀さん(48)は、そう言って、赤いノートに目を落とす。
「ノートを作ると決めたとき、里菜はすごく喜んだんです。『自分が死んだ後のことをずっと伝えたかった』と、言っていました」(麻紀さん)
ノートの表側からは、家族でやりたいことが書かれているが、裏表紙をめくると、里菜さんが意思疎通できなくなったとき、そして、死んだ後にしてほしいことが、書かれている。「未来ノート」と名付けられた赤いノートは、食卓に置かれ、家族の誰もが自由に書き入れたり、見られるようになっていた。口に出しては言えないこと。それでも家族には伝えたいことを、里菜さんは「未来ノート」につづっていた。
未来ノートについて、里菜さんは朝日新聞に投稿している。「ひととき」欄(2月14日付)に掲載された投稿は、こう締めくくられていた。
《楽しい話も、悲しい話も、逃げずに家族と真剣に話し合うことが大切だと思います。ノートのおかげで我が家は笑えます。(中略)私の生きる力になっています》
里菜さんは女ばかり3人家族の長女だ。