「沢山の幸せと愛情をありがとう」20歳で逝去した女性がノートに遺した言葉
人間の心の底の黒いものがいっぱい出てきて……」(麻紀さん)
麻紀さんは、願掛けとして、毎日、車で1時間以上かかる病院に通うと決めた。里菜さんの前では明るく元気な母を演じたという。どうしても気持ちが切り替わらないときは、車の中で気持ちを整理してから、病院に入った。
「私、人前では泣かないんです。元気で強いキャラで通しているから。子どもたちの前でも。とにかく里菜の前ではハッタリをかますと決めたんです」(麻紀さん)
「分類不能型白血病」という診断が出たのは、入院して3カ月たったころだ。小児白血病には、急性リンパ性、急性骨髄性、慢性骨髄性の3つの型があるが、里菜さんの場合は精密検査でも型が判明しないきわめてまれなケースだった。
「抗がん剤治療とともに骨髄移植もしなければ助からないと言われて……。でも、逆に、移植すれば治る。そんな希望が持てたんです」(麻紀さん)
妹から骨髄提供を受け、里菜さんの病状は一気に改善する。中3の2月に退院し、中学の卒業式に間に合った。