未来をノートに託して…白血病で逝った20歳女性の壮絶闘病
1冊の赤い表紙のノートがある。イタリアの人気文具メーカー「モレスキン」の手帳を思わせるゴムバンド付きのオシャレなノートだ。開くと、読みやすく、やわらかな文字が箇条書きに並んでいた。
・横浜に行くこと。
・ママの手作りアイスクリームを食べる。
・21歳のお祝いをみんなでする。
このノートに、金澤里菜さんは、やりたいこと、食べたいもの、行きたい場所などを家族といっしょに書いてきた。決して遠い夢ではない。
かなったことは、1つずつ二重線で消していく。8ページにわたって、ビッシリ書かれた項目のうち、ここに挙げた最初の2つは消されていたが、3番目の項目はそのままだった。
――4月26日、里菜さんは21歳を迎える前に旅立った。小児白血病だった。「もう、里菜さんには本当に時間がない」と主治医から告げられた夜、母・麻紀さん(48)は、「家族が後悔しないように、自分の思いをノートにまとめようか」と、赤いノートを里菜さんの前にそっと置いた。母の提案に、里菜さんは目を輝かせたという。
「ノートを作ると決めたとき、里菜はすごく喜んだんです。