「緊急事態条項」で首相の好き放題…改憲の危険性はどこにあるか
日本の将来を左右する、重要な争点が目白押しだった今回の総選挙。与党の勝利でその公約が進められたら、私たちの暮らしはいったいどうなるのか、識者に聞いた。
「改憲については、憲法9条ばかりがクローズアップされていますが、いちばん怖いのは、自民党が公約に記していた“緊急事態対応(条項)”です。たとえば、安倍首相が『いまは北朝鮮有事だ』と言って緊急事態宣言を発令すれば、憲法にいくら崇高な理念が謳われていても、すべて吹っ飛ばされてしまいます」
そう警鐘を鳴らすのは、「明日の自由を守る若手弁護士の会」の武井由起子さんだ。自民党の改憲草案には、「外部からの武力攻撃や、内乱、あるいは東日本大震災のような大規模な自然災害が起こったときなどに、内閣総理大臣が、閣議にかけて“緊急事態の宣言”を発することができる」と記されている。
「実は、ドイツの民主的なワイマール憲法下でナチスの独裁を生んだのも、“緊急事態条項”が原因でした。緊急事態条項が発令されると、三権分立がなし崩しになり、“立法・行政・司法”のすべての決定権を内閣が掌握します」