大の料理好きが高じまして、ついに先月、料理小説集を出版しました。題して『エッグマン』。題名からしてお分かりかと思いますが、全編、卵料理のお話です。主人公のエッグマンが卵料理をこしらえては人々の悲しみや孤独を癒していく物語です。世の中には、半熟卵、卵焼き、オムライス、卵丼、スクランブルエッグ、目玉焼き、エッグベネディクト、卵サンド、卵炒飯など、数えきれない卵料理が存在します。おいしい卵料理が目の前にあれば笑顔にもなるし、孤独も紛れ、悲しんでばかりいられなくなります。結局、人間は腹が減れば苛立ち腹が立ちますけど、腹がいっぱいになれば満たされ多少のことは我慢できるようになります。この作品は卵料理という基本中の基本の料理を物語の根底に置き、人々を癒し救い勇気づけていく作品を目指しました。
元料理人のエッグマンことサトジが、母子家庭の母とその娘が抱える様々な問題を、卵料理で解決していきます。娘は母親に近づいてきたサトジのことを最初毛嫌いするのですが、大の卵好き。次から次においしい卵料理を作るサトジにいつしか心を開くようになります。この母子はたくさんの問題を抱えているのですが、たとえば娘の父親の問題、娘の学校の問題、娘自身の問題など、思春期の娘さんが抱える、ありとあらゆる問題を、これまたエッグマンが卵料理によって解決していくことになります。