「世界の山ちゃん」女社長が明かす亡夫=元会長の突然死
夕方5時。開店を待ちわびていた客がどっと詰めかけ、9月末にオープンしたばかりの「世界の山ちゃん」岐阜長住店の店内は一気に騒がしくなった。その喧騒に負けず劣らず賑々しく、壁一面に描かれた“鳥男”のユーモラスな表情を見つめながら、山本久美さん(50)が、ぽつりとこうつぶやいた。
「いまごろ、なに考えてるのかなぁ……」
名古屋発祥の人気居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」。体が鳥で頭が人の鳥男は、同チェーンのイメージキャラクター。モデルは創業者の山本重雄さん(享年59)、その人だ。久美さんは、重雄さんの妻。その目に、うっすらと涙が浮かんで見えた。
「会長(重雄さん)の、長年の夢だったんですよね。ずーっと言ってたの。『いつかは岐阜に、いつかは故郷に錦を飾りたいんだ』って」(久美さん・以下同)
国内12都道府県、さらには台湾、香港、タイ、マレーシアと、まさに世界を股にかけて店舗網を広げてきた「世界の山ちゃん」。創業は’81年。岐阜県武儀郡洞戸村(現・関市)出身の重雄さんが、名古屋市中区新栄にオープンした4坪13席の居酒屋「串かつ・やきとり山ちゃん」