「世界の山ちゃん」女社長が明かす亡夫=元会長の突然死
がスタートだった。
以来、ピリ辛味の手羽先の唐揚げ「幻の手羽先」を名物に店舗を増やし、いまや国内外に75店舗を有する一大チェーンだが、岐阜県内にはいまだ出店できていなかった。その道半ばの59歳の若さで突如、重雄さんは帰らぬ人となってしまう。
昨年8月21日朝、別れは突然やってきた。前夜、重雄さんは知り合いの宴会に顔を出し、9時すぎに、機嫌よく帰ってきた。たまたま、その時間まで起きていた長男と、「いっしょに寝るか」と、床についた。翌朝5時ごろ、重雄さんは、目覚めて、ひとり1階のリビングに降りたようだった。
「でも……そこで、主人は倒れちゃったみたいなんです」
久美さんは、そのとき2階の寝室でまだ眠っていた。
6時半に起きて、階下のリビングに下りてくると、重雄さんが横たわっている。久美さんは明るく声をかけた。
「お父さん、自分で二度寝はダメって言ってたくせに、ダメじゃーん」
久美さんは、重雄さんが冗談で、寝たふりをしていると思っていたのだ。しかし、返事がない。近づいて、もう一度、声をかけ、「あれ?」