「世界の山ちゃん」女社長が明かす亡夫=元会長の突然死
と思った。長年見慣れてきた夫の寝顔と、どこか違って見えた。
「え、え?お父さん、お父さん!」
母の絶叫に、子どもたちが起きてきた。救急車を呼び、心臓マッサージも続けたが、夫はピクリとも反応しない。
「病院に着いて、機械につながれても、死んでしまったとは思えなくて……」
午前7時54分。医師がおごそかに、「機械を外します。残念ですが……」と言った。死因は解離性大動脈瘤と診断された。
「そんなふうに言われても、私にはまだ信じられなくて」
前夜に飲みすぎたわけでもない。長居が嫌いで、二次会には行かない。飲んでも生ビールを中ジョッキで2杯まで。たばこは嫌い。定期的に健康診断を受け、持病もなかった。
「健康には本当に気をつかっていたのにね……。ごめんなさい。最近は泣かずに話せるようになってたんですけど、……私、泣き虫で……」
それから1年余り――。