桐谷健太『ビジランテ』で大切にしたのは「衝動的な反応」
「完成した映画を見て“カッコええな、攻めてるなぁ”と思いました。説明的やなくても、匂いというか空気を感じることができるんです。オリジナル脚本が通りにくい時代に、入江悠監督はなんであの激烈な脚本を書きたかったのか」
そう語るのは、auのCM“三太郎シリーズ”でちょっとおバカな浦島太郎に扮する桐谷健太(37)。公開中の映画『火花』では、せつないほど懸命に青春を突っ走る芸人を演じている。
かたや冒頭の言葉は、最新映画『ビジランテ』(全国公開中)を見ての感想。「ビジランテ」とは、警察や法律、正義が及ばない過酷な世界で、自ら大切なものを守り抜く集団のこと。
「撮影はハードでしたよ。俺は監督のまっすぐなまなざしに“よし、やるぞ!”と奮起したし、好きなんでしょうね、過酷な場に身を置くのが」
物語の舞台は開発が進む地方都市。
支配的な父親を憎む3兄弟は、成長して別々の道を選ぶが、父の死をきっかけに30年ぶりに再会し……土地や家族というものに縛られた3人の運命は交錯して、凄惨な方向へと転がり始める。