“恋愛先生”こと辻仁成、悩める女子の救世主に!(辻仁成「ムスコ飯」エッセイ)
最近、悩める女子からやたらと恋愛相談を受けるのです。不思議なことに、恋に悩む女性たちというのはなぜかみんな「躊躇している、踏み切れない、傷つくのが怖い」と口にします。いくつになっても悩み多き人生ですものね。恋愛先生はまずこう返します。「あのね、バラ園で傷つかないでバラの花をつめますか?」「傷つくことなく勝利したスポーツ選手っていますか?」。そう言うと、みなさん、そうですね、と素直に頷いてくださいます。
「でも、恋愛先生、それでも傷つきたくないんです」。あの、知らんがな、ですよね(笑)。
「待ってください。そもそも出会いがないんです。どうやって出会えばいいでしょう?」。恋愛先生は答えます。「出会いに気がつかないだけじゃないでしょうか?出会った時に積極的に行動していますか?あ、そうだ。私のことどう思いますか、なんて聞いてないでしょうね?」と。
そんなこと聞かれたら、僕なら「別に、どうも思いません」としか返さないですよ。でも、「私はあなたのことが心の底から好きなんです」と言われると、そこに自分を好きになってくれた一人の乙女の存在に気がつくので、悪い気はしませんし、自ずと回答が違ってきます。