大鵬の娘が語る、父の教えで乗り切った「シングルマザーの子育て」
顔を見せに来い』って。こっちが裏切ったのに、むしろ怒ってくれたほうが……」
父に連絡できずにいた時期の美絵子さんは、夜12時から朝まで、運転代行のアルバイトをしていた。今後の生活が不安でたまらなかったが、報道陣が朝早くから遅くまで張り込んでいるので、深夜しか外出できなかったのだ。
「そんな生活のこと、父には言えませんでした。父は、頼られるとぜんぶ受け入れてしまう人なんです。貴闘力さんの博打の借金も、何度も面倒をみてくれて--」
このころ思い出した父の教えがあった。部屋の旅行でハワイに行ったときのことだ。両親だけがビジネスクラスで、子どもはエコノミーだった。
「当時は『ずるい』と思いましたけど、分不相応な贅沢をしちゃいけないという無言のしつけだったんです。感謝しています。苦しい思いをした今だからこそわかるんです」
その父、偉大なる横綱・大鵬さんは事件から3年半後の’13年1月19日、心室頻拍のため亡くなった。享年72。もうすぐ5回目の命日を迎える今、美絵子さんは言う。
「父は……大きな存在です。