スピードスケート高木美帆・菜那姉妹 父・恩師が語る対称的な素顔
そう語るのは、姉妹が通った帯広南商業高校スケート部の東出俊一監督。感情をストレートに表現する正直すぎる姉と、常に飄々として、一人で努力し続ける真面目な妹。性格の違いは誰の目にも明らかだった。愛徳さんは当時をこう振り返る。
「スケートの成績は、美帆ばかりが取り沙汰されますが、お姉ちゃんも速かったんですよ。小学校のときは、十勝の試合では常に表彰台の真ん中でした」
しかし、美帆はそれ以上に速かった。小6ですでに、2歳上の姉の記録を抜いていた。
「小学校までは学年別ですが、中学生になると、菜那と美帆が一緒に競い合うレースが多くなります。
そのときは、どう声をかけていいのかわかりませんでした」(愛徳さん)
中1の妹のほうが、タイムも順位も、中3の姉より上。
「それからは、妹の存在が、お姉ちゃんのコンプレックスになったでしょうね」(愛徳さん)
’09年12月30日、バンクーバー五輪の代表選考会で、中学3年生だった美帆は1,500mで優勝する。日本スピードスケート史上最年少の15歳で、五輪代表に選ばれた。