「久保田早紀」引退から34年――被災地で歌う『異邦人』に感じた音楽の力
形のない音楽の力を感じました」
華やかなスポットライトもオーケストラもないけれど、低い天井からぶら下がった蛍光灯だけの教会で歌う喜び。やっぱり音楽は人の心を救ってくれるものなんだ……。アンコールでは、引退以降、封印していた『異邦人』を共に歌いながら、大切なことを改めて思い出していた。
現在、久米さんは依頼に応じて、日本中の教会でライブや講演会を行っている。そうした活動と並行して、月に2度、都内のカルチャースクールで、聖書・賛美歌をテーマにしたクラスも受け持っている。
「難しい話というより、賛美歌を歌ったり、クリスマスなどキリスト教のイベントについて共に学んでします」
私生活では、息子さんが成人し、自身も今年で60歳になるなど、大きな節目を迎える。
「息子は、歌番組に出ていたころの私の姿は知りません。でも大好きな音楽の話になったとき、『お母さんのは大昔の音楽だよね』なんて言われたことがありましたっけ(笑)。
私自身は還暦ですが、これまで芸能界でも子育て中も走り続けてきたので、逆に還暦の1年間は、休みたいときはお仕事を休む選択をしてもいいかなと思っています」