夏木マリ“強い女性像”の裏の素顔語る「くよくよもします」
未曽有といわれた大災害でさえ、記憶は時間の経過とともに薄れていく。3.11をテーマにした映画『生きる街』(公開中)で主人公を演じた夏木マリは、出演の理由をこう話した。
「理由は2つあります。1つは時が経ち、震災を忘れかけたころに見ていただけるであろうこの映画に出る意味があると思ったこと。2つ目は、千恵子が普通の女性だったんですね。妖怪(の役)とかが多いものですから、わりとこういう役がない。演じてみたいと思いました」(夏木・以下同)
撮影は宮城県沿岸の集落で、’16年に行われた。いまだ震災の爪痕が色濃く残る被災地の様子を振り返る。
「津波の被害に遭われなかった高台には住宅が残っていて、被害に遭った浜のほうは平地で、トラックが砂利をなめしているような状態。景色が2つに分かれていたのをとても覚えています」
本作は、民泊を営んでいる主人公・千恵子の日常を描く。千恵子は明るく元気な女性ではあるけれど、“あの日”から帰ってこない夫がいた。
「ふだんから明るくふるまっているおばちゃんだけど、津波という大きな経験をして思うことはいろいろある。