2018年3月17日 11:00
500円食べ放題!赤字前提の食堂「はっちゃんショップ」
「気分よかったねえ。だってあれ、自動車より高いんだってよ。そんな大っきな高級バイクを何台も引き連れて走ったんだから。サイコーだよ」
前歯のない口元を気にしながら、それでも「はっちゃん」こと田中はつゑさん(82)は、ニカッと満面の笑みを浮かべてみせる。彼女が誇らしげに打ち明けたのは、この取材の前日の出来事。それは、ちょっと奇妙な光景だった。
群馬県桐生市。上毛電鉄の線路に沿って延びる県道を、ハーレーダビッドソンなど大型バイクの集団が、ゆっくりと東に向かって走っていく。
冷たい「赤城おろし」が吹きつけるなか、重低音を響かせ走る大排気量のバイクの群れを引率するようにして、先頭にはとうに傘寿を過ぎた高齢女性が、小さな原付バイクにまたがり走っていくのだ。
「バイクはいまも普通に乗ってるよ。だってバイクがなくっちゃ、仕入れにも行けないがね。今年のお正月も、片道7時間かけて、バイクで東京まで遊びに行ったんだよ」
こともなげな口ぶりで、はっちゃんは続ける。
「昨日は旗日だったろ。うちは旗日、休みなんだよ。