2018年5月14日 16:00
由紀さおり 離婚、紅白落選……挫折を乗り越えられた歌への思い
ところが、11年目で、突然、紅白出場が断たれてしまう。
「11年目も当然、あると思って、衣装も用意していたの。落選の予兆なんて全然なくて。選ばれる基準が理解できなくて『なぜ?』って考え込んでしまいましたね」(由紀さん)
悶々とした日々のなかで、由紀さんはふいに思った。「もう一回、自分の歌探しをしないと、これから先は人前で歌っていけないな」と。自分を奮い立たせるために、新しい自分の歌を求めて、由紀さんは前を向く。そして、大きな目標を立てた。「4年後のデビュー15周年は、NHKホールで、コンサートをしたい」。
’84年のコンサート実現に向け、資金作りのために、由紀さんは地道にキャバレーで歌い続けた。ようやくNHKホールを借りるめどがついたとき、「オーケストラを入れて、一人で2時間半も歌えるかしら」と不安に襲われた。母・ふささんに相談すると、待ってましたとばかりに、「あなた、お姉ちゃんと一緒にやったらどうなの?」と提案してくれた。
姉の祥子さん(76)は、当時をこう振り返る。
「私は東京藝大を出て、オペラの世界に飛び込もうと、ニューヨークに渡りましたが、グレードの高さが違って、全然、かないませんでした。