2018年5月15日 17:00
パリでイクメンは当然!?フランスの最新育児事情(辻仁成「ムスコ飯」エッセイ)
ある日の夕方、いつも行くスーパーの前で若い会社員のお父さんとすれ違いました。なぜお父さんと分かったかと言うと、片手でベビーカーを押していたから。なぜ、会社員だと分かったかと言うと、背広を着てもう一方の手にはビジネスバッグを抱えていたから。想像してみてください。このお父さんは会社帰りに託児所に寄り、預けていた赤ちゃんを引き取ってスーパーに立ち寄ったわけです。
その直後、ローラースケートのお父さんとすれ違いました。なぜお父さんと分かったかと言うと、後ろから娘さんがやはりローラースケートを履いて必死で追いかけていたから。そしてこのお父さんは毎日、私が買い物をする時間に同じ場所を娘さんと走っています。
これが彼らの日課なのでしょう。
フランスの若いお父さんたちはみんなイクメンです。それはお母さんたちが働いている証拠でもあります。なので、お父さんたちは自分のことをイクメンとは思っていません。ごく当たり前のことと考えています。いえ、考えてさえいないでしょう。フランスでは当然だからです。日本とはそこからして差があるということ。
私はここフランスで自分が普通だと気づかされました。