実写化で話題「ピーターラビット」誕生のきっかけは絵手紙
(写真:Frederick Warne&Co.,2018)
「ビアトリクス・ポターが描いた『ピーターラビット』シリーズの絵本は、世界110カ国で出版され、累計2億5000万部の大ベストセラーとなっています」
そう語るのは『ピーターラビット』研究の第一人者の大東文化大学の河野芳英教授。初の実写映画化『ピーターラビット』(5月18日公開ソニー・ピクチャーズ)が、注目を集めるいま、世界中で愛される『ピーターラビット』のトリビアを、河野教授に教えてもらった。
【トリビア1】絵本のタイトルに込められた意味とは
「ビアトリクスは、第1作のタイトルを『ピーターラビットのおはなし』としました。“おはなし”は英語で“tale(テール)”ですが、それと同じ発音に“tail”(尻尾の意)があります。このタイトルには“ピーターラビットのかわいい尻尾”という意味も込められているんです。物語の最初の挿絵には、モミの木の根元から尻尾を向けるピーターが描かれています」(河野教授・以下同)
【トリビア2】きっかけは病床の少年を励ます絵手紙だった
「ビアトリクスは、自分の家庭教師だった女性の息子ノエル君が病床にあることを知り、その彼を励ますために絵手紙を送りました。そのとき、絵手紙の挿絵として初めてピーターを描いたのです」
【トリビア3】250部を自費出版。あの作家も愛読者
「絵手紙を本にしようとしますが、6つ以上の出版社に断られたビアトリクスは自費出版を決め、1901年12月、『ピーターラビットのおはなし』250部を印刷します。
これを『シャーロック・ホームズ』シリーズ原作者のコナン・ドイルも読んだといわれています」
翌年に出版された初版本8,000冊は予約完売。さらに次の年には、5万部のベストセラーになっていった。
【トリビア4】死んだウサギを煮て骨格を調べた原作者
ビアトリクスは裕福な家庭に育った。この時代の裕福な家庭の子どもたちは、家庭教師から読み書きや絵の描き方などの勉強を教わっていた。
「彼女は菌類学を研究し、顕微鏡を使い、標本を拡大して精密な絵を描きました。写実的な絵を描くため、ウサギの死骸を煮て、その骨格からウサギの動きを調べたりもしました。ピーターたちの絵がリアルに描かれているのはそのためです」
【トリビア5】世界で初めて特許を取った絵本のキャラ
「ビアトリクスは、絵本が人気になった後、ドイツ製のピーターのぬいぐるみが、有名百貨店『ハロッズ』で販売されているのを目にします。しかし、ビアトリクスはそのぬいぐるみがまったく気に入らなかった。
そこで彼女はぬいぐるみを自ら手作りしてロンドンの特許局にその写真を送り、デザインは商標登録されました。ビアトリクスは、絵本のキャラクターで特許をとった最初の人物なのです」
ちなみに最初のぬいぐるみは、同シリーズの編集者を務めたノーマンのめいにプレゼントされたという。
【トリビア6】ピーターのお母さんは、タバコで生計を立てた
ピーターには、長女のモプシー、次女のフロプシー、三女のカトンテールという3つ子の妹がいる。
「ピーターのお母さんであるジョセフィン・バニーは、夫を事故でパイにされてしまい、4匹の子のシングルマザーに。そこで、自分たちウサギの毛で編んだ手袋とそで飾りや小さな畑で栽培していたウサギタバコ(ラベンダー)を売るなどして生計を立てていました」
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