企画展『スープはいのち』21_21 DESIGN SIGHTで 「スープ」を入口に衣・食・住の根源を見つめ直す
「衣・食・住」とは、生命を守り育む基本的な営みだが、現代の便利な暮らしの中では、それを支える仕組みや環境が複雑さを増し、衣食住を支える原初的な感覚が薄れつつあるのではないか。そうした思いを出発点に、最小の食である「スープ」を入り口として、衣食住の根源を見つめ直そうとする展覧会が、3月27日(金)から8月9日(日)まで、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催される。
岡 篤郎映像作品《重湯(仮題)》
同展のディレクターを務める遠山夏未は、衣服や住まいという身体の外側の環境と、食という内側の環境をともに「身体を包む行為」としてとらえ、身体空間をデザインする活動を展開しているデザイナーだ。その際、注目しているのは、水と食材を火にかける最小の行為から生まれる「スープ」。スープの一杯には、素材に宿る力、熱の移ろい、土地の歴史、身体の感覚、器や食空間の静かなたたずまいといった多様な要素が同時に息づいている。そこでは外側の世界と内側の世界がひとつに溶け合い、小さな器の中に「生きる環境そのもの」が立ち上がるのだという。
遠山夏未によるコンセプトスケッチ
生活をかたちづくる環境を「包む」という視点からとらえ直す今回の展覧会では、多彩な参加アーティストたちによる布や音を用いたインスタレーション、香りを扱った作品、写真や映像、そしてスープにまつわる資料が会場に並ぶ。来場者たちは、食材が放つ物質としての気配、熱とともに変化する様子、器や空間との呼応、匙(さじ)に託された「食べる」という所作の繊細な動き、あるいは香りや記憶などを手がかりに、五感を通して衣食住の根源に触れる体験をすることになる。
津田 直《Grassland Tears, Omotedate #1》©Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film所蔵先:青森県立郷土館(縄文時代草創期、表館遺跡出土)
「包む」「味わう」「満たす」など、12の動詞を軸にしたゾーンで構成された会場は、その動詞が示す行為の変化がそのまま空間の変化につながるようにデザインされており、鑑賞者の身体感覚を刺激する。また、作品にはレシピが設置されており、来場者はそのレシピを集めながら、鑑賞すると同時に能動的に展示に参加することになる。レシピを持ち帰って「味わう」や「つくる」へと体験を広げることで、鑑賞後も同展の物語が続く、広がりのある展覧会となっている。
<開催情報>
『企画展「スープはいのち」』
会期:2026年3月27日(金)~ 8月9日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日:火曜(※ただし5月5日(火)は開館)
時間:10:00~19:00(※入場は~18:30)
料金:一般1,600円、大学生800円、高校生500円
公式サイト:
https://www.2121designsight.jp/