無限に広がる水玉の世界へ。GWは草間彌生の「南瓜(かぼちゃ)」に会いに行こう!
【原美術館ARC(群馬)】ヴェネツィア・ビエンナーレで展示された草間の代表作
その空間に足を踏み入れ、作品を目にして息をのみ、「ワォッ!」と声をあげた。集まった世界のアート関係者が驚いた瞬間だった。全体が黄色に黒の水玉で覆い尽くされた部屋、中央に置かれた鏡張りの四角い立体のミラールームの中をのぞくと、無限に広がり増殖する南瓜。インスタレーションは大反響を巻き起こした。
草間彌生《ミラールーム(かぼちゃ)》(外部) 1991/1992年 (C)YAYOI KUSAMA
1993年6月に幕を開けた世界最古の国際美術展「第45回ヴェネツィア・ビエンナーレ」の日本館で初の個展を開催した草間彌生。1950年代の「無限の網」の油彩から60年代のソフト・スカルプチュア、ショッキングピンクのボートや銀の大型ボックス作品、絵画の大作などの最新作まで出品作品21点の中心となったのが《ミラールーム(かぼちゃ)》で、インスタレーションとして世界に初めて発表された。黄色に黒の水玉のドレスととんがり帽子の草間が会場を訪れる人々に小さなかぼちゃのオブジェを手渡し、日本館は笑顔と熱気に包まれた。
草間彌生《ミラールーム(かぼちゃ)》(内部) 1991/1992年 (C)YAYOI KUSAMA
中央の小窓から中をのぞくと、無限の世界が広がる
この草間の代表作品に群馬・渋川の原美術館ARCで出会うことができる!1991年に制作された《ミラールーム(かぼちゃ)》は原美術館(品川)に収蔵され、翌年にインスタレーションとして初公開されて大きな注目を集めた後、1993年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された。
原美術館ARCは作品を常設展示、一年を通してインスタレーションを体感することができる。
原美術館ARCでは美術館の創設期(1979〜1990年)の活動に焦点を当てた『虹のつくり方』展を9月6日まで開催中だ。美術館を運営する財団「アルカンシール(Arc-en-Ciel)」の名称の日本語「虹」を展覧会タイトルに、1979年に品川の閑静な住宅街に現代美術の専門館として原美術館を開館(2021年に閉館)、創設者で理事長の原俊夫が70年代半ばより、アーティストに会いに行き、交流を深め、自らの感性で収集してきたコレクションを展示。世界で活躍するアーティストの個展をいち早く開催、日本の若手作家の発表の場となった「ハラ アニュアル」など、日本の現代アートにおける先駆的な活動の軌跡を辿ることができる。
さらに特別展示室・觀海庵(かんかいあん)では「安藤正子:普通の日々」を同時開催。小さな楽焼き約150点によるインスタレーションや油彩の新作、水彩や映像などにより、2012年の原美術館での個展から14年ぶりとなる安藤の積み重ねた歩みと現在を見る展覧会だ。
【彫刻の森美術館(箱根)】草間による初の石彫作品を新収蔵
草間彌生《われは南瓜》2013年 (C)YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
箱根の彫刻の森美術館では、草間の初めての石彫作品《われは南瓜》(2013年)に会える!4月19日に公開となったばかりの作品は、大自然に抱かれた屋外展示場の一角にモザイクタイルを敷き設置、降り注ぐ陽光に映え、たちまち多くの来場者の写真スポットとなり、南瓜の周りでは弾ける声が響いていた。
草間彌生《南瓜》2017年(C)YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts 屋外展示場に隣接する「The Hakone Open-Air Museum Café」と「丸太広場キトキ」では、バルーンで制作された《南瓜》のインスタレーションが期間限定で展示されている
彫刻の森美術館では、国内で最も早い時期1988年に草間の個展を開催、時を経て、草間作品がコレクションされた。
箱根の四季の移ろいとともに、この地に息づき、この場所、その時間にしか見ることができない風景を楽しめる。隣接する丸太広場 キトキとカフェでは関連企画として、草間作品のインスタレーションやインタビュー動画も上映(11月1日まで)。カフェは赤い水玉に包まれる。《われは南瓜》の作品の完成時、「愛はとこしえそして人類の平和は永遠にあるそしてまた宇宙の中の我々は一つの星の一つの中に住んでいて……」と語る草間のメッセージ映像は必見だ。
瀬戸内、長野、そして東京でも さまざまな場所で出会える“南瓜(かぼちゃ)”
草間の“南瓜(かぼちゃ)”は、その地に新たな光景を生みだす。1994年に瀬戸内海の直島、海に突き出た古い桟橋に設置された黄色い《南瓜》の様子を誰もが思い浮かべることができるだろう。草間の最初の屋外彫刻はアートの島、直島のシンボルとなった(2021年の台風で破損、翌年に復元制作された)。
草間の故郷の松本市美術館では特集展示『草間彌生 魂のおきどころ』を開催(通年展示)。
《大いなる巨大な南瓜》(2017年)が迎えてくれる。東京の草間彌生美術館では平面《かぼちゃ》(1991年)を含む多彩な作品による展覧会『クサマズ・ポップ』を開催中(8月30日まで)。全国各地で出会うことができる草間の“南瓜(かぼちゃ)”。ゴールデンウィークに会いに行きたい。
取材・文:内田真由美
■草間彌生《ミラールーム(かぼちゃ)》※常設展示作品
会場:原美術館ARC
公式サイト:
https://www.haramuseum.or.jp/
■草間彌生《われは南瓜》※常設展示作品
会場:彫刻の森美術館
公式サイト:
https://www.hakone-oam.or.jp/
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