くらし情報『まっすぐひたむきに葛藤する今江大地『エゴ・サーチ』初日観劇レポート』

2022年4月11日 18:00

まっすぐひたむきに葛藤する今江大地『エゴ・サーチ』初日観劇レポート

まっすぐひたむきに葛藤する今江大地『エゴ・サーチ』初日観劇レポート

まっすぐひたむきに葛藤する今江大地『エゴ・サーチ』初日観劇レポート


インターネット上にいる自分とそっくりな“誰か”の存在が気になり、新作の構想が浮かばない一色。真実に近づくにつれて葛藤の色を帯びていく主人公の人物像を、今江はまっすぐひたむきに立ち上げる。一方、生死を分ける極限のシーンに盛り込まれる“笑い”にも貪欲な姿勢を見せるひと幕も。清々しくテンポのよい芝居で客席をどんどん劇世界へ連れ出していく。

カメラマン志望の広瀬が女性の歓心を買う背景にも注目だ。演じる結木の打ち出す人物像は、その理由が明らかになった途端にいっそう切なく映った。一色の恋人・小田切役の吉田は初舞台ながらよく通る声で力強くしなやかに物語のキーマンに扮する。鴻上作品に3度目の登板となる南沢は編集担当・夏川として一色に伴走し、豊富なノリツッコミでコメディリリーフ的な役割を果たした。


まっすぐひたむきに葛藤する今江大地『エゴ・サーチ』初日観劇レポート


2010年の初演・2013年の再演より「エゴ・サーチ」という言葉や行為が一般化される昨今において、金の力でインターネット上の影響力を手にしようとする者やリベンジポルノの被害者といった現代の“病巣”も描かれることは興味深い。しかし取りこぼした真実があるとはいえ、主人公は「エゴ・サーチ」したからこそ本質に迫ることができた。

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