心奪われる初恋ドラマの傑作が『映画 冬のソナタ 日本特別版』となってスクリーンに登場──ペ・ヨンジュン、チェ・ジウ主演【おとなの映画ガイド】
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日本に韓流ブームを巻き起こしたドラマ“冬ソナ”が、20年以上の時を経て、『映画 冬のソナタ 日本特別版』となり、いよいよ3月6日(金)に劇場公開される。ユン・ソクホ監督が編集の全工程に参加し、チュンサンとユジンの“純愛”に焦点を当てた、約2時間の濃厚な作品だ。しかも、4Kリマスター版で、新たに編曲された劇中曲も現代のハイテク大スクリーン仕様。あの雪景色のなかのふたりを、映画館の暗闇のなか、心ゆくまで満喫できるという趣向です。
『映画 冬のソナタ 日本特別版』
予告編で、あの哀愁漂うメロディが流れてくると、かつて涙腺が崩壊した時の記憶が押し寄せてきた方も多いのでは。なにしろ、かれこれ20年以上前の映像ですから、ヨン様もチェ・ジウも若いけれど、テレビ放送で観ていたみなさんも若かったわけで。全編がそこはかとなくきらきら輝いて見えた、懐かしの“冬ソナ”との再会です。
ドラマが作られたのは2002年。
日本初放送は2003年6月のNHK BS、翌年にはNHK総合テレビでも放送され、週末の夜遅い枠にも関わらず大ブームを巻きおこした。今でもこの作品のことを語るときは“冬ソナ”と短縮形になるし、主演のペ・ヨンジュンは“ヨン様”の方がよく知られているほど、日本での反響はすさまじいものだった。
物語はこんな感じ。始まりは1990年代初頭。ユジンが通う高校にチュンサンという転校生がやってくる。なかなかクラスになじもうとしない彼だが、ちょっとした巡りあわせが重なり、ふたりはたちまち恋に落ちる。ところが、一緒に過ごすはずの雪の降る大晦日に、チュンサンが交通事故でいなくなってしまい、初恋は、悲嘆とともに終止符を打つ。それから10年。
建築の仕事をしているユジンの前に、チュンサンと瓜二つのスキー場開発責任者、ミニョンが現れて……。
大反響をよんだ要因は、まず、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウという立ち姿まで美しい高身長カップルの魅力。ちょっとツンデレ、優しい笑顔のヨン様と、おもわず手を差し伸べたくなる涙目のチェ・ジウ。そして、その後の韓流ドラマに連綿と引き継がれる、初恋、再会、交通事故、記憶喪失、難病、三角関係、家族の絆といった要素。それが、ぐるぐるとからみあい、これでもかと登場する。高校生の服装や学校の雰囲気、そして街の風景が日本とよく似ていることも含め、近くて遠い韓国の文化も新鮮だった。
「日本特別版」プロジェクトは、日本での放送20周年を記念し、長年作品を愛し続けてきた日本のファンからの熱烈な映画化への要望に応える形で始まったという。製作はドラマと同じ、PAN ENTERTAINMENT、監督のユン・ソクホが再編集の全工程に参加し、未放送シーンを加え、映像も4Kにアップデートされた。現代の高性能な映画館の音響にあわせ、名匠イ・ジスが編曲、エンディングシーンで流れる「My Memory」は、新たにオーケストラ楽曲となっている。
全20話、1400分のドラマをふたりの純愛ストーリーに絞り込み、128分にまとめているわけなので、何度も見返している冬ソナファンにとっては「ここをこうつないだのか」とか、「この映像を入れることであのエピソードにふれたってことね」と、映像編集者になった気分で楽しめるという。
それよりもなによりも、映画館で観られてうれしいのは、いくつものきらめく雪のシーンや韓国各地をロケした映像だ。結構引いたショットが多いドラマだが、大スクリーンいっぱいに展開されると、これは感動もの。ラジカセやCD、携帯電話、いまや通販でも買えるポラリス(北極星)のネックレスといった、意味ある小物も、とても効果的に映る。
懐かしい。
けれどそれだけでなく、再び心揺さぶられるのは、ラブストーリーものとしての完成度と普遍性が高いからなのだろう。文=坂口英明(ぴあ編集部)
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