【サンダンス映画祭2026レポート】イランで芸術を追求する若者が直面する厳しさ。
ワールドシネマ・コンペティション部門で上映された『The Friend’s House Is Here』の舞台は現代のテヘラン。
若い女性パリは劇作家で演出家。ルームメイトのハナはダンサーで女優。ふたりは仲間たちと一緒に小さなアンダーグラウンドの劇団で活動し、大きなやりがいを感じている。演劇を通して表現する時が、彼女らにとって一番の幸せだ。モダンな彼女らは、ヒジャブ(スカーフ)で頭を覆うこともせず、街で見知らぬ年上の女性から注意されたりする。
そんなある日、劇団の活動は政府に目をつけられ、パリに大きな危機が訪れた。親友を放っておけないと、ハナは、自分の将来のためのチャンスも犠牲にし、全力を尽くす。
監督、脚本はフセイン・ケシャヴァルツとマリヤム・アタエイのコンビ。タイトルは、やはりテヘラン出身の巨匠アッバス・キアスタロミの『友だちのうちはどこ?』にオマージュを捧げるもの。
昨年のカンヌでパルムドールを受賞し、オスカー国際長編部門にもノミネートされたジャファル・パナヒの『シンプル・アクシデント/偶然』同様、極秘のもとに撮影。完成した映画は、イランで反政府デモが盛り上がる状況をくぐり抜けてなんとかアメリカまで届けられたという。
テレビや新聞のニュースでは語られない、人々の日常に迫るタイムリーな作品。しかし、女性たちの強い友情とアーティストの精神に焦点を当てた、ヒューマニティに満ちた作品でもある。
文:猿渡由紀
Courtesy of Sundance Institute