【ライブレポート】“やりたいことやろうぜ”ツアー・ファイナルで山中さわお(the pillows)が35年間、走り続ける理由がわかった
飽きてないんだよね。その俺が作る音楽を聴きに、のこのこ君たちはやってくるわけだ(笑)。君たちも飽きてないんじゃないの!新しいも古いもない世界、それがロックンロールだ!」。
畳みかけるような言葉を繰り出して始めた曲は「アインザッツ」。このナンバーは世界情勢全体が閉鎖的でエンタテインメントが塞がれた2020年の夏にリリースされた5thアルバム『ロックンロールはいらない』に収録され、“独りになってどんなに苦しんでもオレは他の生き方は知らない”と宣言した重要曲。冒頭から笑顔があふれた山中だったが、この曲を演奏しながら、じっと客席を凝視してこの日を記憶に刻み付けているようにみえた。「ヒルビリーはかく語りき」、「Mallory」などお馴染みの曲が連投され、山中の放つ、強く逞しいメッセージが客席一人ひとりの胸を締め付けていく。“もしも居場所がないならこのまま宇宙の果てまで付き合うぜ”。
その優しさに救われた瞳と拳と叫びが場内に満ちていた。
木村祐介(g/ArtTheaterGuild)
「すげえ、なんかアメリカ・ツアーを思い出すよ」と口にした山中。続いてメンバー紹介へ。
関根は「去年はレコーディングに始まって、ツアーして、直後にすぐ“さわおとしおり”を作り始めたんですよ。