藤原季節「この物語にすごく救われた」映画『DIVOC-12』インタビュー
最近になって(共演した)『his』を観返したら、氷魚が演じる迅が、一滴の涙も流さずに悲しみを表現していたことに気づいて。なんて正々堂々とした演技をする人なんだろう、と改めて思いました。
一方で、僕が演じた渚は、ズタボロになって、すべてのシーンでめそめそ泣きそうな演技をしているんですよ。それを氷魚がずっと包み込むようにしていてくれてたんだな、と思うと、撮影から数年経って、彼の優しさを再確認するというか。こんなにも支えてもらっていたんだな、と思って、「ああいう俳優になりたいな」と。尊敬できる人に出会えました。
自分の感情を表現するスイッチを持っている
――最近の出来事で、誰かに“共有”したくなることはありましたか?
石井裕也監督の『アジアの天使』という映画を観たんですけど、それは周りのみんなに知らせました。「“アジ天”良かった!」って(笑)。
ちょっと言い方が悪く聞こえるかもしれませんが、あそこまでバカみたいに映画の力を信じられるというか、映画のためにバカになれる人たちの姿を見て、日本映画の世界にはこんなにも素敵な先輩たちがいるんだ、と。僕にとっては一つの希望になりました。映画館を出たあとの普通じゃいられない充実感が最高でした。