もう子供じゃない、でも大人でもない19歳のふたりだからできる演奏がここに! さくらしめじ配信ライブレポート
モニターはステージ上のライティングのアップや、キノコのライトのアップなどに切り替わり、その間にも雅功のナレーションは続く。「いつからだろう、そんなことを気にし始めたのは。いつからだろう、欲しいものがあっても、駄々をこねず諦めるようになったのは──」。誰かに話しているというよりも、自分に言い聞かせるような語り口である。「きっと、ここに生い茂る木々たちは、そんなことをちょっとも考えたことないんだろう。不思議と、ここにいると、音楽を聴くと、自分が自分でいられる気がする。明日もまた、変わらない日常が、移り変わる街の景色が、訪れるんだろう。せめて、今日くらいは、自分が自分として、いられるように……」。
そして暗闇をはさんで、モニターはステージへ。激しいギターから始まった曲は「でぃすとーしょん」。バックバンドも入った立体的な音の激しい曲調に、ふたりの歌い方も変わる。声に太さが加わり、巻き舌も駆使し、高音も交え、腹に響いていく。「さくらしめじ=優しい曲」と思っていた人は、足元をすくわれた気分になるかもしれない。先ほどのナレーションは、この曲のバックグラウンドとなるフラストレーションを表現したのか。