2023年10月2日 12:00
【おとなの映画ガイド】真木よう子、井浦新ならではの大人の色気漂う空気感、 謎のリリー・フランキー…人間の心の奥底に迫った今泉力哉監督の異色作『アンダーカレント』
(C)豊田徹也/講談社 2023「アンダーカレント」製作委員会
2004年に発表されて以来、国内外で読み継がれる豊田徹也の伝説的コミック『アンダーカレント』が、恋愛映画の名手、今泉力哉監督によって映画化、10月6日(金)から公開される。主演は真木よう子。今泉監督にとっては、『ちひろさん』に続くコミック原作の映画化。これまでの軽やかなタッチの恋愛ドラマとは一線を画す、ミステリアスなヒューマン・ドラマだ。音楽は細野晴臣が担当。
『アンダーカレント』
undercurrent ── 下層の水流、底流。(表面の思想や感情と矛盾する)暗流。と、映画の冒頭で字幕が表示される。
人間の心の奥底には、表向きにみえていることとは相反する暗い部分がある、ということか。
真木よう子演じる主人公かなえは夫とふたりで家業の銭湯を営んでいた。夫の悟(永山瑛太)は、かなえの大学時代の同級生で、卒業してから数年後に再会、交際して4年、結婚して4年、銭湯を仲むつまじく共同経営していた。しかし、その夫が突然失踪。一時休業していたが、気を取り直し、お手伝いのおばちゃん(中村久美)の助けを借りて再開したところだ。
その翌日、この「月乃湯」