「幻の作品」が再起動する。今に寄り添う“触れ合わない“ラブストーリー、『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』白井晃×南沢奈央インタビュー
撮影:源賀津己
『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』が1月16日(土)からKAAT神奈川芸術劇場にて開幕する。2020年4月、開幕直前に公演中止となった作品。KAAT芸術監督でもあり、今作の演出を務める白井晃の尽力で、中止から9か月という異例の早さでの上演が決定した。白井と、主演の南沢奈央に話を聞いた。
時間を置いたことで、作品を俯瞰して見られた
「稽古中も途中から時間を短縮したりしていて、少しずつ不穏な空気が忍び寄っていたんです。それでも初日が延期になったときにはまだ『上演できる』という希望があったので頑張っていられたのですが、中止が決まった瞬間に心が折れたのか、体調を崩してしまって。表現をする場がなくなってしまうのはこんなにもつらいんだ、と思いました」(南沢)
「通し稽古も終えて、明日にも舞台での稽古をスタートするという段階で緊急事態宣言が出て延期になり、さらに中止が決定しました。でもこの難しい作品を南沢(奈央)くんや平埜(生成)くん、入手(杏奈)くんと力を合わせて作ってきた、スタートラインまできていたものがここで終わることはどうしてもできないと思いました。それだけの思いで1月の上演にこぎつけました」