マインツ先生のレッスンも楽譜に忠実で、表現力の幅を広げてくれ、新たな視点が増えます。すべての感覚が日々変容し、自分の内面がまるで入れ替わったように変貌しています」
こう語る彼はこの1年でヨーロッパの歴史、伝統、建築、音楽、美術に触れて自身が大きく成長したと感じ、それらをより多く吸収し糧にしたいという。その語り口は非常に熱く前向きで、エネルギーに満ちていてたのもしい。さて、前半のドイツ作品とはがらりと雰囲気を変え、後半はヤナーチェクで幕を開ける。
「今年は3度もチェコを訪れる機会があり、プラハのドヴォルザークホールでドヴォルザークの曾孫にあたる人の前でドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏することができ、感動しました。そこでもうひとりのチェコ作曲家、ヤナーチェクの《おとぎ話》を組みました。この曲はロシアのジュコーフスキーの詩に基づいて書かれていますので、ショスタコーヴィチにつなげる意味を備えています。今回はドイツで勉強した成果を聴いていただきたいと思い、いまもっとも表現したいプログラムを組みました。
長年共演を続けているピアニストの大伏啓太さんにも留学する前と比較してほしいと思っています。