ヤクザが学校の救世主に? 『任侠学園』が放つ痛烈な皮肉の面白さ
(C)今野 敏/(C)2019 映画「任侠学園」製作委員会
ヤクザが学校再建に挑むという、思い切った内容のコメディ映画、『任侠学園』。本作は、うまくいっていない学校や出版社、病院、映画館などを、不器用だが義理人情を重んじる、“善良な”ヤクザが助けていくという、今野敏(『ハンチョウ』シリーズ、『ST 赤と白の捜査ファイル』)原作の人気小説シリーズが実写映画化されたもの。
社会奉仕がモットーという異色のヤクザ、“阿岐本組”。西田敏行が演じる、義理人情に厚すぎる組長は、子分たちに次から次へと人助けを命じる。今回助けるのは、経営不振の私立高校。西島秀俊が演じる阿岐本組ナンバー2の日村は、学校に嫌な思い出しかなく、子分たちを連れ、仕方なく学園へ向かう。
「ヤクザに学校再建などできるのか?」と思ってしまうが、現代の学校には問題が山積み。やる気のない高校生や、事なかれ主義の校長以下教師たちに対し、日村たち阿岐本組の面々が、義理人情で喝をいれることで、学校は改善を見せていく。
現代社会の縮図であるともいえる学校。ここで映し出される、無気力・無感動・無責任という状況は、痛烈な風刺にもなっている。だからこそ、停滞した環境を斬っていくヤクザの“世直し”が、より痛快なものに感じられるはずだ。
『任侠学園』
本日より公開