『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』監督インタビュー 「“戦争の恐怖”を描く作品にしたかった」
監督が目指したのは、『プライベート・ライアン』を観た時のような“没入感”と圧倒的な恐怖なのかもしれない。
「事前にさまざまな戦争映画を観て、観客がジオンの兵士と一緒に戦っていると感じられる視点を探っていきました。中でも『トゥモロー・ワールド』(アルフォンソ・キュアロン監督/2006年)の視点は参考にしました」
天才撮影監督エマニュエル・ルベッキが参加した『トゥモロー・ワールド』では手持ちカメラが主人公と並走し、熾烈な戦場の真ん中を潜り抜ける。圧倒的な緊張感、生々しい表現は本作にも通ずるものがある。本作では巨大なモビルスーツはしっかりと重量のある物体として描かれ、ビームによって攻撃を受けると穴が開くだけでなく、金属が溶け、破壊され、その結果、搭乗員が命を落とす。これまで何度も観てきたはずの『ガンダム』作品の表現のすべてが新しく感じられるのだ。
「“スケール感”を出すことが出発点でした。この作品はリアルな表現で描かれますから、そこを失敗してしまうとすべてが“おもちゃ”のように見えてしまいます。さらにいうと、モビルスーツもビーム・サーベルも現実の世界には存在しないものですよね?ですから過去の『ガンダム』作品を観ながら、バンダイナムコフィルムワークスさんと何度も話し合いをして、新たな表現を試行錯誤していきました。