2023年4月12日 12:00
いつかたどり着きたい場所。『綿子はもつれる』安達祐実インタビュー
人の生き死にに関わることが描かれていたりするので……。そうやって人の命という大きなものを扱っていながらも、加藤さんの書くセリフってすごくリアルで、めちゃくちゃ日常なんです。歪んでいるのに絶妙に調和がとれている状態であったものが、命がひとつ消えるのと同時に弾けて、崩れていく……。それがまた再生するというときもありますし、いろいろですが。「人間関係ってこうだよね」とか、「人ってこういうところあるよね」とか、ちゃんときたない部分も見せてくれる。今回もきっと稽古や本番を通じて私自身も揺さぶられるんだろうな、と思います。
ーー綿子をこんなふうに演じてほしいというリクエストはありましたか?
安達いえ、全然。最初にご一緒させてもらったときから、「この役をこんなふうにやってほしい」というお話をいただいたことはないんです。
そもそも加藤さんと、稽古場以外でほぼ会話したことがない(笑)。もちろん稽古に入ったら細かいお芝居をつけてもらったり、ニュアンスや心持ちについてのお話をしたりはしますけど。
ーーたとえば演出ではどんなことを?
安達とくに最初の頃は「演技しないで」ということを繰り返し言われました。